耳鼻咽喉科
外来診療体制
現在、耳鼻咽喉科外来診療は週2回、鹿児島大学大学院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野からの非常勤医師派遣によって行っています。火曜日(山下)と金曜日に診療を行っております。診療予約が入りにくかったり、待ち時間が長くなったりと大変ご迷惑をおかけしておりますが、限られた人材・資材にて診療を維持しておりますので何卒みなさまのご理解をお願い申し上げます。
鹿児島県内において耳鼻咽喉科・頭頸部外科勤務医は希少種であり、病院に耳鼻咽喉科常勤医を配置できているのは鹿児島市内の4つの基幹病院、2つの関連病院、霧島市立医師会医療センターのみという状況です。阿久根地区のみでなく、離島を含めた県内の広範な病院診療を教室員で何とか支えています。2024年からの働き方改革が地域医療に与えるインパクトについてはまだ予測不能の状況です。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科疾患のため、手術や入院が必要な診療は大学病院を中心に対応しておりますが、めまい(眩暈症)、突発性難聴(突然片側の耳がきこえなくなる)、顔面神経麻痺、急性扁桃炎など点滴治療のみで対応可能な例では各診療科の先生方と連携をとり広域医療センターにおいて入院加療を行うこともあります。
対応疾患
耳科疾患、鼻科疾患、口腔・咽頭疾患、喉頭疾患、頭頸部腫瘍と、すべての耳鼻咽喉科・頭頸部外科疾患の診察に対応しています。
従来、組織を一部とる検査(組織試験採取・穿刺吸引細胞診)なども大学病院へと紹介しておりましたが、現在は特殊なものを除いて、外来日帰り処置にて対応しております。また、局所麻酔下に短時間で行うことのできる手術も行っています。
狭帯域光観察(NBI)に対応した最新の電子内視鏡、処置用ポート付き電子内視鏡、鼻科手術用硬性内視鏡、超音波検査装置など、診察に必要な機器も揃え万全の診療体制をとっております。令和4年度には、耳科用顕微鏡、耳鼻咽喉科診察ユニットの更新を行いました。
もちろん、重症疾患のみでなく、軽症やそもそも病気があるかどうかもわからない患者さんにも対応します。耳あかをとって欲しい、最近聞こえがわるくなってきた、鼻がつまる、においがわからない、鼻水がでる、口やのどの違和感、頸部のはれ、などの患者さんもお気軽にご紹介いただけますと幸いです。
難聴の放置が認知機能の低下を促進する、ということも近年わかってきております。また、補聴器の機器が目覚ましい発展を遂げている一方で、国内での補聴器装用者率は欧米に比べるとまだまだ低い値です。必要に応じ金曜日の補聴器外来にて試聴も行っていただいています。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科の悪性腫瘍は発見が遅れることが多く、初診時に進行癌となっていることも少なくありません。患者さんには禁煙、減酒を行い、定期健診による早期発見をお勧めしたいと思います。
また、睡眠時無呼吸の簡易検査や重症患者さんへの持続陽圧呼吸療法(CPAP)の導入・維持も行っております。
診療実績
2022年度のべ外来患者数は2386名(初診137名)、聴力検査件数は364件でした。
手術件数は30件であり、内訳は多いものから鼻腔粘膜焼灼術(鼻出血の止血)10件、鼻茸摘出術(内視鏡下鼻副鼻腔手術)5件、鼓膜チューブ挿入術4件、鼓膜切開術3件、咽頭異物摘出術2件、その他でした。
自己紹介
はじめまして、2020年6月より、非常勤医師として外来診療を担当しております山下 勝と申します。
まずは自己紹介からさせていただきます。私は平成8年に鹿児島大学医学部医学科を卒業し、京都大学ならびに関連病院(静岡市立静岡病院、西神戸医療センター)にて診療を行い、京都大学大学院博士課程を修了。米国ウィスコンシン大学マディソン校に留学し、主に頭頸部臓器の再生研究、幹細胞研究を行ってきました。帰国後は滋賀県の草津総合病院(温泉地ではありません)、大阪の北野病院、京都大学大学院助教・病棟医長を経験し、平成30年から静岡県立総合病院部長となりました。静岡を終の棲家とするつもりで赴任しましたが、縁あって、令和2年5月より鹿児島大学大学院医歯学総合研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野を主宰することとなりました。
さいごに
耳鼻咽喉科・頭頸部外科は聴覚、嗅覚、味覚、触覚という多くの感覚器を扱い、呼吸・発声・嚥下という生命維持や意思疎通に必須な機能をつかさどる内科および外科診療科です。
人生のなかで残っている機能を少しでも多く引き出すことができるのなら、そのことに背を向けるメリットはありません。ひとりひとりの患者さんによりよい生活の質(QOL)を提供できるお手伝いが出来ればと考えて診療にあたっております。
ひきつづき皆様の応援をよろしくお願いいたします。