泌尿器科
はじめに
当院の泌尿器科は1992年4月より鹿児島大学泌尿器科学教室からの派遣が始まり、現在常勤2人体制で日々の診療を行っています。
2022年度は2名とも異動となりましたが、鶴田は2011年度、岡村は2018年度に勤務歴があり、大きな問題を生じることなく新体制へ移行出来たように思います。
泌尿器科は悪性疾患、尿路感染症、尿路結石、排尿障害、腎不全など扱う疾患が多岐にわたります。それぞれの疾患に応じて、手術、薬物治療、時には経過観察など適切な治療が行えるよう心掛けております。
当院は北薩地区で唯一の全身麻酔下の泌尿器科手術が可能な病院です。地域の中核病院として、多くの方が地元で治療が受けられるよう、また、より良い医療を提供できるよう努めていきたいと思っています。
外来
外来診療は月、水、木、金曜の午前中に行っており、基本的には予約制をとっています。近隣の開業の先生方の他、出水方面あるいは水俣方面からも患者さんをご紹介いただくことが増えてきています。救急外来を通して来られた急患の方は、365日 24時間受け付けております。
月・水・金の午後は検査・処置(尿管ステント留置・交換、前立腺生検など)を行っております。 患者数は多くはありませんが、前立腺癌・腎癌・尿路上皮癌に対する外来化学療法も実施しています。
入院
病院最上階の8階を主病棟としています(2023年度は病棟再編により6階病棟に変更になりました)。泌尿器癌、尿路感染症、尿路結石の症例が多数を占めています。
病棟回診は毎朝・毎夕、泌尿器科2名で行っており、話し合いをしながら診療を進めています。毎週金曜日は、病棟看護師、薬剤師、リハビリスタッフ、社会福祉士とともに多職種カンファレンスも行っております。カンファレンスを通して、個々の患者の退院に向けた最適なゴール設定を行っています。
血液浄化
他院で維持透析を行っている方が入院された場合や、緊急の血液浄化療法が必要な場合は、泌尿器科が介入し併診しております。 2022年度の治療件数は、血液透析(HD) 441件、持続的血液濾過透析(CHDF)22件、PMXを用いたエンドトキシン吸着 0件と、前年度に比べて減少傾向となっていました。
手術
火曜日終日と木曜日の午後に手術を行っています。泌尿器癌に対する摘出手術の他、尿路結石・排尿障害といった良性疾患の手術、血液透析のためのシャント造設術など幅広く行っております。
ここ数年の傾向のひとつとして、尿路結石関連手術が増えてきていることが挙げられます。尿路結石の治療は、かつては体外衝撃波結石破砕術(ESWL)を行うことが多かったのですが、結石の大きさや硬度・部位によっては砕石困難な症例もあり、治療が複数回必要となることが多いという問題がありました。そこで当院では、1回の手術で確実な砕石を行うため、経尿道的尿路結石砕石術(TUL)を積極的に行っております。昨年度途中より、装置の老朽化のためESWLの実施が不可能となり、ESWLを希望される患者様は水俣市立総合医療センターあるいは済生会川内病院へ紹介させていただいております。
泌尿器癌の手術は、近年はロボット手術が主流になりつつありますが、2023年4月現在、鹿児島県内では依然鹿児島市内でしかロボット手術が行えないのが現状です。当院では常勤医2名とも日本泌尿器内視鏡学会の腹腔鏡技術認定医の資格を有しており、腹腔鏡手術に力を入れています。
手術の内訳は下記の通りでした。
手術実績(2022年4月1日~2023年3月31日)
腹腔鏡下副腎摘出術 | 1 |
腹腔鏡下腎摘出術 | 10 |
腹腔鏡下腎部分切除術 | 2 |
腹腔鏡下腎尿管全摘術 | 5 |
腹腔鏡下前立腺全摘術 | 14 |
腹腔鏡下膀胱全摘術 | 2 |
腹腔鏡下仙骨膣固定術 | 1 |
経尿道的膀胱腫瘍切除術 | 56 |
経尿道的前立腺切除術 | 3 |
経尿道的前立腺核出術 | 8 |
経尿道的腎・尿管結石砕石術 | 45 |
経皮的経尿道的同時砕石術 | 1 |
経尿道的膀胱結石砕石術 | 5 |
陰嚢・精巣の手術 | 3 |
腎瘻造設術 | 8 |
膀胱瘻造設術 | 5 |
内シャント設置術 | 4 |
その他 | 16 |
前立腺針生検 | 49 |
計 | 238 |
学術
学会発表
第145回日本泌尿器科学会鹿児島地方会, 2022年12月18日, 鹿児島 | 岡村 俊介, 鶴田 雅史:腹腔鏡下尿膜管摘出術後の臍形成における当院での工夫 |
人事(2024年4月現在)
川原 一朗 (2024年4月~現在) | 日本泌尿器科学会専門医・指導医 泌尿器腹腔鏡技術認定医 |
岡村 俊介 (2022年4月~現在) | 泌尿器科専門医 泌尿器腹腔鏡技術認定医 |